Rion Hiragi/Resercher/Storyteller

〜警報が出てもなぜ人は避難しないのか?〜 NO.244

こんにちは。

皆様の住んでいる地域は

台風は大丈夫でしたか?

 

今回、私が生まれ育った宮城県南部のエリアが

床上・床下浸水してしまったようです。

被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

 

今回は、災害時あなたの命を守るため

絶対に知っておかなければいけないバイアスを書きます。

 

それは「楽観バイアス(正常性の偏見)「集団バイアス」です

 

台風19号でも

直撃して辺りが暗くなってから避難を始め

亡くなった方や

二階に取り残されて自衛隊に救助される方が多くいました。

 

彼らを責めるつもりは毛頭ありませんが

問題になるのは「なぜあれ程警告が何日も前から出ていたのに

彼らは避難行動を開始しなかったのか」という点です。

 

それが上記二つの心理バイアスと大きく関わっています。

 

「楽観バイアス(正常性の偏見)とは

自分にとって都合の悪い情報を無視し

実際の危機を過小評価してしまう心のクセです。

 

私たちは、悲劇的な証拠がそろっていても

常に「自分だけは大丈夫」と思い込んでしまいがちです。

 

脳には「前頭葉」という理性を司る部分がありますが

「悪い」情報を聞くと、ここの働きが鈍ります。

 

ある調査によると、このバイアスにより

本来の状況を2割ほど楽観的に解釈するそうです。

 

そして、このバイアスは8割の人にあると言われています。

 

さらに厄介なのは「集団(同調)バイアス」です。

これは、「その他大勢がやっている事が正しい」

と考える心のクセです。

 

私は、母が津波で甚大な被害を受けた大川小学校の近くで

働いていた経験もあるため

大川小学校の津波被害、それに関わる意思決定について

震災以降色々と調べています。

 

その過程で多くの証言を読んでいると

「集団バイアス」と「楽観バイアス」が

この悲劇に大きく関わっている事が見てとれます。

 

最近の裁判では「教諭らの避難誘導に過失があった」として

市と県に最高裁が賠償を命じましたが

 

仮にあの場に母が教員として生徒を守る立場でいたとして

冷静に判断を下せていたかと言えば

「無理だったろう」と言わざるを得ません。

 

(さらに悪い事に大川小の校長、教頭エリアの区長といった

本来リーダーシップを取るべき人達の

防災意識と危機管理能力がとても低かったんですね)

 

集団バイアスは強力で

一人だけ避難行動を取るのはかなり難しくなります。

 

ただ、誰かが率先して避難行動を開始し

それに追従する人が一人、できれば数人出ると

一気に集団全体がその流れに乗ります。

 

台風は、地震と違い

前もってある程度の危機が予測できる災害です。

 

避難が遅れた人を救助する消防隊や自衛隊の方々だって

ご自身の命を賭して任務に当たっています。

 

ですので、何か災害が起こり

逃げなくてはいけない状況に陥った時

それに迷いが生じるようなら

自分には「正常性の偏見(楽観バイアス)」「集団(同調)バイアス」

が働いていないか、かならず問いかけましょう。

 

この二つのバイアスがあると知っているだけで

あなたと大切な人の命を守れる確立がぐっと上がるのです。