Rion Hiragi/Resercher/Storyteller

〜No.208 サッカー日本代表選手はなぜ打たれ強いのか〜

皆様こんにちは。

 

開催中の2018FIFAワールドカップ。

夜更かしして応援した方も大勢いるのではないでしょうか。

日本代表選手も、本当に素晴らしかったですね。

 

今回は、批判をはねのけて16強入りを果たした彼らのメンタルの強さを

3つのポイントから解説したいと思います。

 

 

  ポイント1「批判への対応力」

 

W杯開催前、西野ジャパンの成績は良くありませんでした。

 

2018年の公式記録によると、対マリ戦(1-1)対ウクライナ戦(1-2で負)、対ガーナ戦(0-2で負)と、何と1分け2敗。やっとワールドカップ開催直前の対パラグアイ戦で、初勝利(4-2)を上げています。

 

この結果に日本メディアやサポーターからは厳しい評価やブーイングが浴びせられました。また、代表メンバーが前回とあまり変わらなかったので「おっさんジャパン」と揶揄されたりしましたよね。

 

あなたが日本代表選手の立場だとしたら、この強烈な批判にどんな意味を付けるでしょうか。これに関して、75日に帰国記者会見をした長谷部誠キャプテンが、大変興味深い事をおっしゃっていました。

 

「皆さんに期待されていない状況を、『絶対に引っくり返してやろう!』とチームの皆といつも話していました。逆にそういう厳しいお言葉が、このチームの力になりました」

 

ここが、非凡な人と凡人の「出来事に対する意味付け」の違いです

 

普通であれば、「自分への批判=自分はダメだ」という意味を付けしてしまいがちです。しかし長谷部キャプテンを始め代表選手は「自分への批判=目の前の壁を乗り越えるための燃料」という意味付けをしているのです。

 

 

   ポイント「レモネード思考法」

 

英語に「レモンを手に入れたら、レモネードを作れ」ということわざがあります。これは、「何か嫌な出来事があったら、それをいい物に作り替えてしまいなさい」という意味です。

 

この思考法は、言葉を変えると自分にとってマイナスな出来事が起きた時、それに『プラスの意味』を付けることによって、人生の糧にする」思考法のです。

 

私が代表選手達のストレスマネジメントの上手さを痛感したのは、ベルギーに惜しくも破れた直後のインタビューでした。

 

香川選手は、「受け止めにくい結果でも、受け止めなければいけないと思います。そして将来、この結果が役立つ時が必ず来ると信じています」と答えています。川島選手など他の選手も同じようなことを話されていました。

 

4年間準備してきた夢が目の前で惜しくも散ってしまった直後に関わらず、「この経験を絶対に糧にする」という強い意志を感じます。

 

 

  DHEAホルモンを分泌している

 

最近の研究では、ストレスが自分の成長に大きな役割を果たすことが分かっています

 

例えば、ネガティブな体験をした後でも「これを乗り越えれば、自分の可能性を広げることができる」と意味付けを行えば、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)というホルモンが恐怖を抑制し、脳の成長を促してくれるのです。さらに、ストレスホルモンのコルチゾールの作用を抑制し、免疫力も高めてくれます。

 

このDHEAを分泌するのに大切なのが、「出来事への意味付け」なのです。意味付けとは、言葉を変えると「自分への言葉がけ」です。

 

日本代表選手の皆さんは、辛いことや試練にぶつかる度に、その経験に対して「ポジティブな言葉がけ」をして、前に進んでいるのです。

 

では、なぜポジティブに捉えられるのかというと、そこには努力に裏打ちされた絶対的な自信があるからです。

 

本田選手もこう言っています。「ここにいる人達は、普通の日本人からしたら信じられないレベルの努力をしてきている」と。「自分を評価するのは他人でなく、常に自分である」というプライドがあるのでしょう。

 

 

最後に「代表選手・キャプテンを辞するという今の気持ち」を聞かれた時の、長谷部キャプテンの言葉を紹介します。

 

「今は99%の満足感と1%の後悔があります。後悔の1%は、これからの人生につなげたいと思います」

 

彼には、後悔さえも人生の糧とする強さとたくましさがあるのでしょう。

 

こんなキャプテンの下で経験を積めた若手の皆さんは、きっとたくさんの事を吸収できたでしょうね。今後が楽しみです!

 

 

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編集後記:

 

13年位前に、大宮駅の新幹線改札内にあるBeck’sコーヒー

目の前にグレーのスーツを着た三都主選手そっくりな男性がいました。

 

「似てるなー」と思って新幹線ホームに行くと

そこには浦和レッズの選手達が同じスーツを着てたくさんいたのです。

 

今思えば、時期的にその中に長谷部さんもいたと思います。

 

ただ、当時の知名度は圧倒的に三都主さんが上だったので

「わ〜! 本物のサントスがいる!」と舞い上がって

長谷部さんには全く気づきませんでした。

 

非常にもったいないことをしました。

 

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