Rion Hiragi/Resercher/Storyteller

〜 No.138 大川小の裁判官はバイアスを理解しているのか〜

皆さまこんにちは。

 

トランプが大統領になったり

世の中本当に乱れていますね。

 

そんな中、私が追い続けているニュースが

小学校で戦後最大の津波被害を受けた

大川小学校の裁判の経過です。

 

ここでは「なぜ先生達は山に逃げなかったのか」

が争点になっています。

 

はっきり申し上げて

これはバイアスのせいです。

 

何のバイアスか?

『楽観バイアス(正常性の偏見)』と

『同調バイアス』です。

 

事実関係をいくら明るみに出したところで

「なぜ逃げられなかったのか」という行き着く理由は

 

「そうせざるを得なかった」という

人間の根本的なバイアスです。

 

津波でお子様達を亡くされた方の苦しみは

想像を絶するものがあります。

 

一方で、生徒と一緒に亡くなられた先生方の遺族の気持ちは

いかばかりなのかと思います。

 

私の両親はどちらとも教員で

母は初めて受け持った小学校が

大川小学校の近くの鮎川小学校というところでした。

 

そこで母が今回のような津波に直面したとして

周りを振り切って山へ逃げられる決断ができたかと言えば

まずできていなかったでしょう。

 

でも、母なら

子供の命を懸命に守ろうとしたと思います。

亡くなった教員の方は、全員その思いだったはずです。

 

では、なぜ山に逃げる決断ができなかったのか。

 

そもそも

この地域は普段から津波被害をほとんど想定しておらず

(海岸から4kmも離れていた)

 

かつ

教員の世界というのは

良くも悪くも横並びであり

枠からはみ出ることはいけない事。

決められた事を決められた通りにするのが

良しとされている世界です。

 

ここをベースに分析してみます。

 

『楽観バイアス』についてです。

私たちは、悲劇的な証拠がそろっていても

常に「自分だけは大丈夫」と思い込んでいます。

 

これに関して、

ユニバーシティカレッジ ロンドンの神経科学者

ターリ・シャーロット教授が行った実験があります。

 

例えば喫煙して、バイクが大好きな50才位の男性被験者。

彼に、PCのスクリーンでネガティブな言葉が表示され

(「肺ガン」「アルツハイマー」「バイク事故」など)

自分がそれを経験する確立がどれくらいあるか予想してもらいます。

 

その後、被験者と同じタイプの人が

実際にそれを経験する、統計学上の確立が表示されます。

 

今回の被験者は、自分が肺ガンになる確立は10%と答えましたが

彼のようなライフスタイルの人が罹患する確立は30%です。

 

この場合、与えられた情報は被験者にとって「悪い」情報となります。

こうなると、理性を司る「前頭葉」の働きが鈍るのです!

 

正確な統計値を知った後で

もう一度「自分が肺ガンになる確立はどの位か?」

と尋ねると、先ほど「確立は30%」と伝えられたのに関わらず

「自分がかかる確立はせいぜい13%

と答えてしまうのです。

 

逆に、統計値が自分の予測より良いと

前頭葉が働くので、きちんと訂正を行います。

 

この被験者は「自分がアルツハイマーになる確立は30%」と最初答えました。

実際の統計値は10%と予想より良かったので

次に改めて同じ質問をされた時には、冷静に訂正して

「自分がアルツハイマーになる確立は12%

と統計値に近い値に言い直しています。

 

私たちの脳は、悪い情報を無視するようにできているんです。

 

ちなみに、この楽観バイアスは

およそ8割の人にあると言われています。

 

加えて、『同調バイアス』です。

 

これは、「その他大勢がやっていることが正しい」

と考えてしまう思考のクセです。

 

「同調」が一番起きやすい人数があるのをご存知でしょうか?

 

12人」です。

 

津波被害当時の大川小学校の教職員の人数は

11人」。

 

この人数からも、1人が「山に逃げよう」と冷静な判断ができても

他の先生が「山は木が倒れる」とか「ここまで津波は来ない」

と言い出せば、そちらに流れてしまうのです。

 

遺族側の訴えを認めた

仙台地方裁判所の裁判官は

こういったバイアスを理解しているのでしょうか?

それを理解せずに

先生方を断罪するのはあってはならない事です。

 

事実確認だけでは

絶対に理解できない無意識の判断が人間には存在します。

 

どちらに正義があるのか

裁判で明らかにするのは難しいのではないかと思います。

 

 

参照

『お金と感情と意思決定の白熱教室』ダン・アリエリー

『モーガン・フリーマン 時空を越えて』NHK

 

 

 

 

□■──────────────────────────□■

編集後記:

 

大統領選。

トランプがなんで勝ってしまったかというのは

ヒラリーが嫌われ過ぎているからです。

日本にいると感覚がつかみにくいのですが、

実は、白人ブルーカラーだけでなく

白人富裕層からも、すごく嫌われています。

サンダース vs トランプだったら

民主党が勝てていたかもしれませんね...