Rion Hiragi/Resercher/Storyteller

 ~No.77 「どう始めるか」より「どう終わるか」が大切〜

猛暑が続いておりますが

皆様体調は大丈夫ですか?

 

私は一昨日まで八重山諸島を旅行していました。

実はそこで台風13号の直撃を受けて

予定日に帰れなくなったのですが

今回メルマガに紹介する心理実験を知っていたので

台風がそれてから、あえてすぐに帰らずに

2日旅行を延ばしました。

 

どんな実験か、早速見て行きましょう。

 

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「終わりよければ全てよし」という言葉は

心理学的に実に的を得ています。

 

私たちの記憶は経験した事を全て平等に評価する訳ではなく

「どんな終わり方をしたか」

で全体の印象が大きく変わるからです。

 

つまりそのイベントの「最後の瞬間」が「苦痛」であれば

「イベント全体が不愉快」と感じ

途中で何度か嫌な思いをしても最後の瞬間が

さほど苦痛でない・もしくは「楽しい」ものであれば

「イベント全体のイメージが良く」なります。

 

これを裏付ける

「冷水の中に手を浸す実験」というのがあります。

 

ここで被験者は

 

14度の冷水(かなり冷たいがギリギリ我慢できる温度)60秒間片手を浸し、60秒が終了すると手を出すように言われ、温かいタオルが渡される

 

14度の冷水に60秒片手を浸すところまでは①と同じだが、60秒が過ぎると温かいお湯が注がれ、被験者は1度温度が上昇した水中にプラス30秒手を浸し続ける

 

という①と②の実験を左右の手で1回ずつ行い

3回目は「①と②のどちらの実験ならもう一度しても良いか」

自由に選べるようにしました。

 

普通に考えると

30秒も余計に冷水に手を浸したくないので

   を選びそうなものですが

実は被験者の80%があえて30秒間余計に苦痛を味わう

②を選んだのです。

 

似たような結果は

麻酔を使わない大腸内視鏡検査でも見てとれます。

 

①患者Aの検査は8分で終了したが、終了した瞬間に非常に苦痛を感じていた

②患者Bの検査は24分かかったが、終了した瞬間はほとんど苦痛を感じていなかった

 

という場合

患者Aの方が患者Bより

2倍弱この検査に悪い印象を持ちました。

 

(参考文献:『ファスト&スロー 下』ダニエル・カーネマン 早川書房)

 

これは、私たちが「経験」と「記憶」を混同して

「認知的錯覚」が生じるからです。

 

特に「どんな終わり方をしたか」が

記憶にとても大きな影響を及ぼします。

 

途中経過がいくら楽しくても

最後がそうでなかったばかりに

他の楽しい思い出も帳消しになってしまいがちです。

(実際に経験は帳消しにはならないのですが、そう感じてしまうのです)

 

これは離婚や転職にも当てはまりますね。

 

「あいつは最低だった!」とか

「あの職場は最悪だった!」と感じていたら

もしかしたら最後の接点を持った瞬間が

良い形ではなかったのかもしれません。

 

夏の思い出をより楽しいものにしたい!とお考えなら

「どう終わるか」を意識してプランを立ててみて下さいね。

 

 

 

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編集後記:

 

今回の旅行では小浜島で満天の星を眺められました。

星座アプリってご存知ですか?

空にかざすとどこに何の星座があるか分かるのですが

それが大いに役立ちました!

世間的には今からお盆ですが

私は溜まっている仕事に取りかかります

 

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