Rion Hiragi/Resercher/Storyteller

体罰を法律で禁止する国:スウェーデン

私が書いております、日本アンガーマネジメント協会のブログからご紹介です!

 

今日は子どもの日ですね。それにちなんで、今日は子どもの権利について少し考えてみようと思います。

 

子どもが親や教師を叩いたら、それは「とんでもない事だ!」と誰もが思うでしょう。では逆はどうでしょうか。「親は子どもにしつけのために体罰を与える権利や、更に言えば義務を持っている」と考える人も少なからずいます。

 

しかし国連子どもの権利条約では、「子どもがあらゆる形態の暴力から守られる」事を保証しているのです。現在この条約は193カ国で締結され、日本ももちろん批准しています。

 

スウェーデンでは各国に先立ち、1979年に国会の親子法を改正し、子どもへのあらゆる形態の体罰、またはその他の精神的虐待に当たる取り扱いを禁止しました(親子法第61)

 

あらゆる現場での子どもへの体罰禁止を明文化しただけでなく、政府は大体的な広報キャンペーンを行いました。その結果、1960年代には全体の1/3の子どもが親から日常的に叩かれていましたが、2000年代以降にはその値が数%にまで減少したのです(子どもに対する暴力のない社会をめざして-体罰を廃止したスウェーデン30年のあゆみ)

 

体罰禁止運動を推進していた、児童文学者アストリッド・リンドグレーン『長くつ下のピッピ』などの著作で知られています)が記したエピソードをご紹介します。

 

それは彼が、ある高齢の女性から聞いた話です。

その女性がまだ若い母親だった頃、しつけのために子どもを叩く必要があるという話を耳にしました。ある日、幼い息子が罰に値すると思えることをしたので、女性は「森に行って、お母さんがお前を叩くのに使う樺の枝を見つけてきなさい」と言い渡しました。

 

男の子はなかなか戻ってきませんでしたが、ついに泣きながら帰って来てこう言ったそうです。

 

「樺の枝は見つけられなかったけど、石を持ってきたよ。これを僕にぶつければいいよ」

 

そのとき突然、母親は息子の視点から状況が見えるようになり、涙があふれてきました。男の子はきっとこう思ったのでしょう。

 

   お母さんは僕を傷付けたいから、石だって使うだろう。

 

母親は息子を抱きしめ、2人でしばらく泣きました。そして台所の棚の上に石を置き、いつもそれを見て、この解き立てた一生の誓いを思い出しました。その誓いとは、決して暴力を振るわないことでした。(以上)

 

子どもには、あらゆる暴力から守られる権利があります。

 

彼らより腕力があるというだけで、その権利を剥奪する権利は、大人にはありません。

(参考URL) http://www.kodomosukoyaka.net/pdf/2009-sweden.pdf#page=9