Rion Hiragi/Resercher/Storyteller

人の幸せが心に刺さる時は

もうすぐクリスマスですね。

街が華やぐ季節です。

 

今回は、幸せがあふれる時期だからこそ、あえて自分の見たくない感情を、しっかり見つめていこうと思います。

 

「皆さんは、人の幸せを素直に喜べていますか」

 

ここで答えに迷うようなら、今日の記事を読んで下さい。

 

私はある時期まで、人の幸せを見るのが本当に苦痛でした。

 

5年前の12月、私は夫と別居し、当時0才の娘を連れて実家に帰って来ました。

 

買物に出かけたショッピグモールでは、大きなツリーの下で、たくさんの家族連れが子どもと一緒に写真を撮っているんです。

 

ママがいて、パパがいて、楽しそうにはしゃぐ子どもがいてみんな、何でそんなに楽しそうなの?って思いました。

 

おじいちゃんもおばあちゃんもいなくて、1人ベビーカーを押している自分が惨めでしょうがなかった。大人の事情なんて分からない娘は、大きなツリーを見て大喜び。

 

どうして皆に当たり前にあるものが、私にはないんだろうって、もっと率直な言葉を使えば、皆わたしと同じ位孤独になっちゃえばいいとさえ思っていました。

 

瀬戸内寂聴さんの小説『あふれるもの』で、不倫をしている主人公の女性は、お正月に必ず旅をするんです。家で一人、年末年始を過ごすのに耐えられないから。

 

私にはその気持ちが痛いほど分かりました。家族が集まるにぎやかな季節ほど、自分の回りの静寂が気になって仕方ないんです。

 

月日が少し経ち離婚の傷も少しずつ癒えて、「自分の感情は自分で選べるんだ」と気付くようになった、それから3年後のクリスマス。

 

娘がお寿司を食べたいというので、家の近所にあったお寿司屋さんに行きました。

 

時間が早く、お客さんはまだ余りいなかったのですが、ふと入り口近くの椅子を見ると、5~6人で食べるような大きな丸いお皿が何十個も置いてあったんです。私と娘だけじゃ、絶対に食べきれない大きいお皿。

 

こんな小さな町にも、これからお寿司を囲んでにぎやかな夕食を食べる家がこんなにあるんだ、って思ったら、強くなりかけた心が折れそうになりました。

 

でも、その時ふと思ったんです。

 

泣きたくなる代わりに、このお寿司を食べる人達が、みんな素敵な夜を過ごせる様に祈ったらどうだろう、と。

 

そう考えたら、自然と肩の力が抜けて、笑顔になれました。

 

この話を聞いて、綺麗事だと思いますか?

 

結婚していない人は、結婚している友達を心のどこかで妬んだり、赤ちゃんができない人は、ベビーカーを押す人を見ると悲しくなるかもしれない。

 

どうしてでしょう?

 

◯◯が手の中にないと、自分は不幸だ

 

と思い込んでいるからです。

 

私たちは、生まれてから今まで、色んな価値観を作り上げてきています。例えばそれは、「クリスマスは誰かと過ごすもの」という強い思い込みや、「年収は一千万円ないと不幸せ」という経済的なもの、また「友達がたくさんいないと惨め」といった気持ちです。

 

でもそれは1つの見方であって、唯一の正解ではありません。その価値観に縛られるから、自分が苦しくなってしまう。

 

アンガーマネジメントでは、そういった「持っていてもどうしようもない価値観」を「不毛なコアビリーフ」と呼んでいます。

 

Core Belief(コアビリーフ)とは、自分が絶対だと信じている考え方。つまり「不毛なコアビリーフ」とは、その考えに固執しても、あなたにも回りにも何もいい影響を及ぼしませんよ、という価値観です。

 

人を羨む気持ちを持つ事は、決して悪い事ではありません。それが目標を達成する原動力にもなるでしょう。

 

でもそれが度を超して、あなたを負の感情へ引っ張って行ってしまうなら、それはあなたの「不毛なコアビリーフ」かもしれません。

 

自分を苦しめるその価値観、手放しませんか?

 

きっと、すごく楽になります。

 

それでは皆さん、素敵なクリスマスをお過ごしください。